アップセル・クロスセルの違いとは?顧客単価を高めLTVを向上させる方法
目次
マーケティングや営業の方法にアップセル・クロスセルがあり、どちらも顧客に対してアプローチして客単価をアップする手法となります。
近年、新規顧客獲得の難しさから既存顧客の維持に注目が集まり、LTV(Life Time Value「顧客生涯価値」)が重視されるようになりました。このLTVを向上させるためにアップセル・クロスセルの手法が重要となります。
また、アップセル・クロスセルの意味が混同されることが多いので、この記事ではそれぞれの手法の違いや例、顧客単価を高めLTVを向上させる効果的な方法をご紹介します。
売上=「集客」×「購入率」×「平均客単価」
売上は、以下のようなシンプルな売上方程式を使って求めることができます。
売上=「集客」×「購入率」×「平均客単価」
集客、購入率、平均客単価、これらは全て売上にとって非常に重要な要素となります。それぞれにバランスよく目標値を設定し、各目標値を達成することができれば売上も達成できるというわけです。
ECサイトの売上を例に挙げると、月間アクセス数(集客)が1万アクセス、購入率が2%、客単価が5,000円だった場合は次のようになります。
1万アクセス×0.02×5,000円=100万円/月
では、売上をアップさせるためには、具体的にどのような方法があるか考えてみましょう。
①新規顧客の獲得 ②新規顧客にリピータとなってもらう ③購入単価を上げる ④購入点数を増やす ⑤購入回数を上げる ⑥購入頻度を増やす
まず、近年は少子高齢化にともない、人口が減少しているということもあり、新規顧客の獲得が難しくなっています。
さらに、米大手コンサル会社のベイン・アンド・カンパニーのフレデリック・F・ライクヘルドは、「1:5の法則」として「新規顧客を獲得するコストは既存顧客を維持するコストの5倍かかる」という法則を提唱しています。
これらの背景より、既存顧客に着目し、既存顧客を維持しながら客単価をアップさせるという手法が主流となってきています。
そして、様々な施策のために、基本的にはLTVという発想を持つことが、売り上げアップ実現のために非常に重要となります。LTVというのは、Life Time Value(ライフタイムバリュー)の略で「顧客生涯価値」と訳されますが、顧客から生涯に渡って得られる利益のことを指します。
例えば1顧客の最初の取引が1万円だったとしても、そこから施策や商品などの仕組みができていることにより、一生涯で20万円お金を使ってくれるということがわかるとします。そうすると、最初の顧客を獲得するためのコストとして3万円かけても良い、というのがLTVの発想です。
このように、マーケティングや営業の思想の転換から、既存顧客を大切に扱い、密な関係を長く維持することで客単価向上による売り上げアップが多く見られるようになっています。そこで有効な手法とされているアップセルとクロスセルについてご説明していきます。
アップセルとは?
アップセルは、顧客の単価向上のための営業方法の1つで、顧客が現在検討・購入している商品やサービスを「より高額なモデル(上位モデル)へアップグレード」することを提案し、高額な商品やより多くの数量を購入してもらうことです。アプローチは、「ある商品やサービスの購入を検討している顧客」に対して行います。
アップセルは、購入点数が増えない場合でも、顧客あたりの購入単価を向上できます。
元の価格が安いものほど、自然な流れでより高額な商品を紹介することができますし、商品購入間近の消費者に対しては大きな効果を発揮します。単価以上の付加価値を持たせることができれば、より高額な商品の購入を検討する顧客も多くなるでしょう。
クロスセルとは?
クロスセルとは、顧客が現在検討・購入している商品やサービスに、別の関連商品も追加購入してもらう営業方法です。つまり、アプローチするのは「購入後、または購入の意思が決定した顧客」であり、別の関連商品もセットにして「合わせ買い」を促す、購入数を増やすための手法ということになります。
アップセルとは違い、顧客が購入したものに関連する商品を紹介するため、「顧客自身が気づいていないニーズに合ったものを提供できる可能性」もあります。客単価の向上に加え、顧客満足度も向上しますので、効率的な売上アップが期待できます。
アップセル事例
では、具体的にアップセルの事例を見ていきましょう。
高速ネット通信の申し込み
基本料金が、1年契約の場合よりも2年契約の方が月々の支払額が安くなる。サポートや保証期間を延長し、長期的な契約でお得になるという演出が効いている。
クレジットカード会社
カードにはランクがあり、年会費無料のクレジットカードを使用している実績のある顧客に対して、少しずつランクの高いゴールドカードやプラチナカード、ブラックカードに切り替えを勧める。年会費無料にして敷居を下げておいて、後にカードのランクアップにより、顧客単価の向上ができる。
家電量販店
10万円のPCを使っていた顧客に、より高機能な15万円のPCを購入してもらうため、
「作業をスムーズにやるためには、これくらいのメモリが必要」と説明する。また、バージョンアップすれば、割引や優待サービスを受けられるサービスを付ける。
TV通販
「2つセットでのお買い求めで、お試し商品を無料でプレゼント」という、同じ商品を複数個購入してもらう販売方法で、割引や優待・おまけなどを準備し、お得感のあるサービスを提供する。
クロスセル事例
次に、クロスセルの事例もみていきましょう。
飲食店
ハンバーガーショップでハンバーガーを買った際に、店員がフライドポテトや飲み物の購入を勧める。
衣料品販売店
・スーツを購入した顧客に対して、購入したスーツに合うシャツやネクタイを勧める。
・革靴を購入した顧客に対して、クリーナーやブラシ、シューズクリームなどというお手入れのための商品を勧める。
携帯電話会社
・自社の携帯電話回線を契約している顧客に、Wi-Fiをセットで利用してもらうことで、よりハイレベルなサービスが受けられることを紹介する。
・スマートフォンを購入する顧客に、ケースや画面保護のシートの購入を提案する。
Amazonや楽天などのECサイト(オンラインショップ)
買い物をする際のレコメンド機能で「この商品を購入したお客様はこのような商品も購入されます」「一緒に購入されている商品」などという画面を表示するアプローチ法が、多くのECサイトで使われている。顧客の心理や行動履歴から具体的な提案をして客単価が向上しやすくなる。
アップセル・クロスセル施策を行う上で注意したいポイント
ユーザーのニーズの多様化の中で、既存顧客に対してアプローチできるアップセル・クロスセルは、企業側にとって大変魅力的な手法となります。しかし、方法を間違ってしまうと、顧客の信頼をダウンさせてしまう可能性もあります。そうならないために、アップセル・クロスセル施策を行う上で、具体的にどのような注意点があるのかを確認していきましょう。
顧客視点を忘れず顧客のことを第一に考えること
LTVを最大化するために、「顧客視点」で顧客のことを第一に考えることが重要となります。
顧客との密なコミュニケーションがない場合、強引な押しつけになったり、顧客に不快な思いをさせてしまったりする危険性があります。顧客が「押し売りされている」ように感じてしまうと、せっかく商品やサービスを気に入って選んでくれた顧客を失う原因となってしまいます。
顧客視点に立ち、商品やサービスにどのようなメリットがあるのかをわかりやすく提示することができれば、アップセル・クロスセルの成功率はぐんと上がります。
信頼関係やロイヤルティ(信頼度、愛着心)の高い顧客へ働きかけること
顧客との信頼関係やロイヤルティ(信頼度、愛着心)の高さが前提にあることは常に忘れてはなりません。ロイヤルティが低い顧客に対して、ロイヤルティの高い顧客と一様に働きかけてしまうと、無駄になってしまう上に悪い印象を与えてしまいます。
商品やサービスの価値を上げること
商品やサービスの価値を上げることは最低限のことですが、商品だけでなく企業自体の信頼があり、ファンとなってもらえている場合もアップセル・クロスセルが成功しやすくなるでしょう。もちろん、顧客の購入希望商品のイメージからかけ離れたものは紹介しません。
このように、アップセル・クロスセルを成功させるためには、顧客との関係性を保っておくことや営業のフォローを適切に進めることが非常に重要となります。顧客と長期にわたる信頼関係を持ち、趣味嗜好を把握しておく努力や、成功させた後のアフターフォローもしっかり行う必要があります。購買履歴や属性だけでなく、それぞれの顧客ついてより把握することで、関連性の高い商品やお買い得な買い方が提案しやすくなります。「顧客視点」や「顧客中心」であることがLTVの向上につながってくるのです。
WEBを活用した売上アップはMPHにお任せ下さい。
アップセル・クロスセルを成功させる方法は理解できたものの、実際にどのようにすればいいのかわからないことも多いのではないでしょうか。
MPHは、顧客のニーズにマッチする提案をするためにも、顧客のデータの大量集積・分析、質の高い顧客育成、アクションプランの決定など必要なツールの導入から活用まで、WEBマーケティングの業務をまとめて請け負うことで、最大の効果を図ります。顧客と長期的に付き合い、LTVを最大化させるためにも、数多くの業界で実績があるので、安心してご依頼いただけます。
ご相談は無料ですので、お気軽にお問い合せください。現状をお伺いした上で、最適なご案内をさせていただきます。ぜひWEBコンサルティングのプロであるMPHにお任せください。
この記事を書いた人
MPH WEBコンサルティング事業部
専門分野:WEBコンサルティング,WEB広告,SEO,DX,MA
様々な企業・事業者のWEBマーケティングを支援してきたMPHのWEBコンサルティング事業部が、経営に役立つIT・WEBに関するノウハウや最新情報を発信しています。