マーケティングオートメーション(MA)とは?導入した場合のメリットを解説
目次
近年、大手・中小企業を問わず導入が増えている「マーケティングオートメーション(MA)」。マーケティング業務に携わっている人は、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
この記事では、マーケティングオートメーションとは何か・どのように活用すればよいのか等について説明しています。「マーケティング活動の効率を高めたい」と考えている方は、ぜひご覧ください。
マーケティングオートメーション(MA)とは
マーケティングオートメーション(MA)は、企業のマーケティング活動をサポートするツールのことで、簡単に説明すると以下のようなものです。
「この商品を買ってくれそう」という見込み客に対して、継続的に管理・アプローチし、成約度が高まったときに営業担当に引き渡すための仕組みであり、この仕組みを可視化・自動化したソフトウェアのことを指します。
これまで時間がかかりすぎていた業務・時間が足りずにできなかった業務を代わりにしてくれるので、顧客に対してきめ細やかな対応をすることが可能です。
マーケティングオートメーションにおけるBtoB・BtoCの使い分け
MAには「BtoB向け」と「BtoC向け」があります。
- BtoB…企業が「企業」に対して、商材を提供するビジネス
- BtoC…企業が「個人」に対して、商材を提供するビジネス
対象となる顧客が企業か個人かでは、購入を検討する基準やアプローチ方法が異なります。MAはBtoB向けに作られたものが多く、BtoCがビジネスモデルの企業は、導入時に注意が必要です。 BtoC向けのMAを選択する際は、以下の特徴があるかチェックするようにしましょう。
- 大量の顧客データを取り扱うことができる
- 多数のチャネル(LINE・twitter・Instagram・Facebookなど)に対応できる
- 細かいシナリオ作成が可能
マーケティングオートメーションの導入が必要な理由
MAを導入する理由は、マーケティング活動の効率化を図るためです。導入が必要になった背景や、効果について説明していきます。
顧客の消費行動の変化に対応
モノ・サービスを購入する際、一昔前であれば、店頭に直接足を運ぶ・営業担当者の説明を聞く・カタログを取り寄せるなどが一般的でした。 しかしインターネットの普及が進んだ現代では、ネットで簡単に情報収集をすることができます。顧客自ら口コミ・他社比較などの下調べをしたうえで商品を購入する傾向が強いため、これまでのマーケティング手法のままでは、モノが売れない時代になっているのです。 今の時代に必要なのは、ただ商品内容の説明をすることではなく、個々の顧客ニーズに合わせた役立つ情報を提供すること。 MAを導入することで、顧客のWeb上での動向を解析することができるため、ニーズに対して最適な情報提供をすることが可能になります。
見込み客の情報を管理・育成できる
企業が抱えている課題には、以下のようなものがあります。
- 成約に至らなかった顧客に定期的なアプローチができていない
- 見込み客の情報を一元管理できていない
- マーケティング部門と営業部門の連携が取れていない
上記の問題を改善していかなければ、企業は多くのビジネスチャンスを逃してしまいます。 MAは、顧客の詳細情報(業種・役職・ニーズなど)の一元管理・分析や、成約に至らなかった顧客に対して継続的な情報提供をすることができ、成約度を上げることが期待できます。 また、マーケティング部門と営業部門が同じ情報を共有できるので、より効果的なマーケティング施策を実行していくことができるでしょう。
手作業を自動化
MAは、顧客の分析・顧客リストの作成・定期的なメール配信など、手動で行うと大きな手間・時間がかかる業務を自動化することが可能です。それにより、手動と比較してミスが減る・空いた時間でより価値のある仕事に注力できるなどのメリットが生まれ、効率の良い業務が可能になります。
マーケティングオートメーションの活用法
MAを導入することで、マーケティングに重要とされている以下の3つのステップを自動化することが可能です。
- 見込み客の発掘(リードジェネレーション)
- 見込み客の育成(リードナーチャリング)
- 見込み客の選定(リードクオリフィケーション)
また、顧客情報を一元管理できるため、営業部門・マーケティング部門の連携を強化することができます。それぞれの活用方法を見ていきましょう。
見込み客の発掘(リードジェネレーション)
商談を成立するうえで特に重要なのが、見込み客の発掘です。見込み客とひとくくりに言っても、今すぐ買ってくれそう・もう少しで買ってくれそう・まだまだ時間がかかりそう等、顧客ごとに質が分かれます。 その顧客情報を同じリストに入れて営業担当に渡しても、効率の良い提案ができません。営業担当は、なるべく今すぐ買ってくれそうな、良質な顧客リストを求めています。MAを使用することで、自社のwebサイトにアクセスした顧客の属性・動向を分析して、リスト化することが可能です。どんな人・企業が、いつ、どの情報に触れたのか可視化でき、展示会や名刺交換などの自社との繋がりがあるかもすぐに把握できます。 営業部門は、顧客がどんなことに関心があるのか想定したうえで提案ができるため、顧客へ質の高い提案ができるようになるのです。
見込み客の育成(リードナーチャリング)
成約度を上げるためには、将来的に買ってくれそうな可能性がある顧客に対して、継続的な情報提供をし、成約度の高い顧客を育成していく活動が大切です。通常のメールの場合、顧客がどのくらい検討しているのか分からない状態で配信するため、顧客にまったく響かない情報を与えてしまいかねません。MAは、顧客のWeb上の行動を分析し、その顧客に合わせて最適な情報を配信することができます。そのため顧客が今必要としている情報を届けやすく、顧客の興味を引き付けることが期待できるのです。
見込み客の選定(リードクオリフィケーションケーション)
育成によって、ある程度顧客の質が上がってきたら、そこからさらに成約度が高い顧客の選定を行います。配信したメールを読んでくれている・検討段階ではないと見ないようなページを見ている・どのページに注目しているのか等といった顧客の行動を取得・分析できるため、より効率の良い提案が可能です。
顧客情報の一元管理
顧客のあらゆる情報がまとまっているため、必要な情報をすぐ取り出すことが可能です。顧客の属性・web上の閲覧履歴に加え、交換した名刺のデータ化や、マーケティング部門がどのような施策を実行したのか・営業部門がどんなアプローチをしたのかも把握できます。MAはマーケティング部門だけが扱うツールではなく、営業部門も活用することができるため、双方の連携を図りながら活動することができるのです。
マーケティングオートメーションに求めたい機能とは?
では、上記項目で紹介した活用方法ごとに、MAに求めたい機能について説明していきます。
「見込み客の発掘」向けの機能
オウンドメディア・ランディングページ構築
顧客との接点を持つために、有益な情報を発信するオウンドメディア(自社サイト)や、ランディングページを簡単に作成する機能です。ランディングページとは、自社サイト内に複数あるページの中で、顧客が最初にアクセスしたページのことを指します。顧客が、どのページを経由してアクセスしてきたかに応じて、デザイン・キャッチコピーを変えることも可能です。
ソーシャル機能
LINE・Twitter・Instagram・FacebookなどのSNSを運用する機能です。情報を配信し、収集した情報をデータ化するなどの活用ができます。
「見込み客の育成」向けの機能
メール配信・キャンペーン管理機能
「顧客がこの行動をしたらこのメールを送る」などのシナリオを作成し、それをもとに顧客ニーズに合わせたメールを自動配信する機能です。テキストメールやHTMLメールなどが作成でき、さまざまな方法で顧客へアプローチすることができます。
「見込み客の選定」向けの機能
リードスコアリング機能
獲得した見込み顧客に対して最適なアプローチがとれるよう、蓄積されたデータをもとに顧客を点数化(スコアリング)し、分類する機能です。
「顧客情報の一元管理」向けの機能
リード情報・リスト管理機能
オウンドメディア・ランディングページなどで集めた、個人の登録情報(企業名・業種・所在地など)・Webの閲覧履歴・流入経路などをまとめて管理し、必要なときにデータとして出力できる機能です。
CRM・SFTなどの連携機能
CRMやSFTといった営業支援ツールと連携できる機能です。
既にCRM・SFTを導入している企業が多いため、連携することで相乗効果が期待できます。 また、マーケティング部門と営業部門の情報共有ができ、ビジネスチャンスを増やすことができるでしょう。
分析レポート機能
一連の業務履歴から顧客の動向を分析することで、アプローチの改善に役立てることができる機能です。
アクセスログ収集機能
webサイトやSNSのアクセス解析ができる機能です。誰がいつ、どのページを訪問したのか・メールを開封したのか・ファイルのダウンロード状況などの情報を収集することができます。
マーケティングオートメーションの運用方法
高機能なMAを導入すれば、必ず成果が出るわけではありません。失敗を防ぐためにも導入時に考えなければならないことがあります。ここでは、MAを運用する流れについて見ていきましょう。
課題・目的を把握する
大前提として、企業がターゲットにする顧客はどのような人たちなのかを把握しておく必要があります。
ここをしっかり把握しておかないと、自社商品を必要としていない顧客のデータも集めてしまうことになり、的外れなアプローチをしてしまいかねません。また、企業が抱える課題について深堀する必要もあります。
見込み顧客がいるのに成約に繋がらないのか・そもそも見込み顧客が集まらずに悩んでいるのか等、具体的な課題を明らかにすることによって、改善に繋げることができるのです。
自動化すべき業務を検討する
なるべくMAをフル活用したほうが、効率が良くなると思われている人も多いでしょう。しかし、取り扱っている商品によってアプローチ方法が日々変化するものもあり、MAを活用するよりも既存のシステムを活用したほうが、手間がかからない場合もあります。また、最初からすべての機能を導入するのではなく、少しずつ実験的に取り入れることで失敗を回避できるでしょう。
マーケティングの戦略を立案
MAは、「どの顧客にどんな情報を提供するのか(シナリオ)」を自動的に考えてくれるツールではありません。オウンドメディアに掲載する情報・シナリオの設計・リードスコアリングの基準などを考案するのはマーケターの仕事です。この点をしっかり検討することで、MAで自動化したときに相乗効果を発揮することができます。
コンテンツの作成・シナリオ設定
立案したコンテンツを作成し、シナリオをMAに設定・運用していきます。導入したからといって、すぐに良い結果が出るとは限りません。
なぜならMAの運用に慣れるには時間がかかりますし、最初から最適な設計をすることは難しいからです。導入後は分析レポート機能を活用しながら日々改善を図りましょう。
代表的なマーケティングオートメーションツール紹介!
マルケト(Market)
全世界で5000社以上、日本国内ではFUJIFILM・Panasonicなどの導入実績があるMA。BtoB・BtoCを問わずに使用可能です。見込み客の発掘から商品の購入、さらにはリピート購入するまでの流れを長期的に一元管理することができます。外部ツールを利用せずともマーケティング業務がカバーできるほど機能が充実しているため、コスト削減も期待できるでしょう。
パードット(Pardot)
セールスフォース・ドットコム社のBtoB向けのMAです。
MAツールに必要な機能をほとんどカバーでき、同社が提供している「Sales Cloud」と連携することで、webサイトへの訪問・メールの開封状況等をタイムリーに知ることができます。もちろん他社ツールとの連携も可能です。
サトリ(SATORI)
女優の上戸彩さんがCMに起用されていることもあり認知度が高く、国産だからこそのサポート体制が充実しているところが魅力です。BtoB・BtoCを問わず使用できます。実名顧客だけではなく匿名の顧客へもアプローチでき、見込み客を増やすことが可能です。また、シンプルで直感的な操作ができるため、初心者にも扱いやすいでしょう。
以上、マーケティングオートメーションの概要について説明してきました。マーケティングの重要性が高まっている今、導入する企業は今後も増え続けることが想定されます。まずは、事前に自社の状況を明確にすることが大切です。課題の解決にマーケティングオートメーションが役立ちそうな場合、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。