インサイドセールスとは?意味やメリット、事例などを紹介
目次
コロナ禍で人との接触を控えなければならない中、訪問せず営業する「インサイドセールス」の導入を検討する企業が増えています。
インサイドセールスは、非対面で営業できるのに加えて、効率良く見込み顧客にアプローチできるため、営業部門の負担が軽くなる、コア業務に注力できるといった点がメリットです。
ただ、これまで営業=訪問が当たり前だった企業にとって、訪問スタイルの違いやインサイドセールスの実施手順が分からず、導入に踏み切れないことも多いのではないでしょうか。
この記事では、インサイドセールスのメリット・デメリットに加え、導入の流れや事例も紹介します。インサイドセールスに挑戦してみたいと思っている方は、ぜひ参考にしてください。
インサイドセールスとは?
顧客へ訪問せず、非対面で行う営業スタイルが「インサイドセールス」です。
逆に訪問型の営業をフィールドセールスといい、インターネット上で行う営業は「オンラインセールス」とも呼ばれています。
オンラインセールスはWEB上で行なう営業全体を表すのに対して、インサイドセールスはWEBやメールに加え、電話も含みます。見込み顧客の発掘や育成活動を指すキーワードとして使われるのが多いようです。
ちなみに、インサイドセールスはアメリカが発祥です。現代のアメリカはインサイドセールスが主流で、訪問型の営業スタイルは年々減少しています。
テレアポなど従来の営業との違いは?
従来の営業スタイルでは、営業部門の担当者自身が1から顧客リストを作成し、訪問や電話、メールでのアプローチから商談につなげ、クロージングまで行うのが当たり前でした。そして、成約後の顧客のアフターフォローやアップセル・クロスセルを行うのも営業担当です。
ちなみにアップセルとは、当初購入してもらったものより、さらに上級で高価な商材を買ってもらうこと。クロスセルとは当初の購入品と関連性のある商材を組み合わせて買ってもらう営業を指します。
上記の方法では、提案できる顧客が少数になりやすいうえに、膨大な顧客情報から1つずつアプローチする必要があるため、効率良くクロージングに持ち込むのは困難です。
そこで誕生したのがインサイドセールスです。インサイドセールスは、従来型の営業スタイルの課題を解決する目的で作られました。
インサイドセールス担当者が行うのは、多くの顧客の中から商材を購入してくれそうな見込み顧客を発掘し、すぐに成約に至りそうな優良顧客を営業担当に引き渡す業務です。商談の設定まで行ってからつなげる場合もあります。
そして購入の可能性がまだ低い顧客に対して、電話・メール・SNSなどを用いて非対面でアプローチします。成約度の高い見込み顧客へと育成できたところで営業担当に引き渡す仕組みです。また、既存顧客へ営業担当に代わってアップセル・クロスセルを行う場合もあります。
営業部門は、これまで自身が担当していた見込み顧客の発掘や商談設定、既存顧客へのアフターフォローから解放されます。商談など本来力を入れるべき仕事へ注力でき、効率良く業績アップへとつなげられるのです。
なお、営業部門が担当していた業務を、どこまでインサイドセールスで行うかは、企業ごとに異なります。
インサイドセールスが今注目されている理由
アメリカでインサイドセールスは、1980年代にはすでに浸透していましたが、日本で導入され始めたのは最近です。
注目された背景には、新型コロナウイルスの流行による接触機会の抑制のほかにも、以下のような理由があります。
競争に勝ち抜くために生産性の向上が必要
変化の激しい業界でライバル会社との差別化を図り、競争を勝ち抜いていくためには、効率良く成果を出し続けなければなりません。
営業担当だけが顧客の新規獲得からクロージングまでを担うことは、顧客との関係性強化の面では利点が大きいのですが、プロセスが多く成果を出すまでに時間がかかりすぎるのがデメリットです。
たとえばクロージングに追われて、顧客の新規開拓が後回しになってしまうこともあります。1人の顧客に手間を費やしてしまうため、業績を大きく向上させるのは難しいでしょう。
インサイドセールスを導入すれば、新規顧客の発掘や商談設定などの業務が、営業担当の手から離れます。仕事を振り分けることで、生産性の向上につながるのです。
人手不足に伴い営業の最適化が求められる
これまで主流だった訪問型の営業では、見込み顧客を1件ずつ訪れる必要があるため、多くの人手を確保しなければなりません。
ただ、近年は少子高齢化などに伴い人手不足に悩む企業が増えています。少数の人材で安定した成果を出し続けるには、営業の仕組みの最適化が重要です。
そのためインサイドセールスを導入して業務を分業し、1つずつの業務に責任を持たせることで、営業の効率化を図る企業が増えています。
顧客のあらゆるニーズに対応するための営業が必須
顧客が商材に関する情報を仕入れられるのは、従来は営業担当からの提案のみでした。
しかし現代は営業担当を介せずとも、インターネットを利用して顧客が自ら商品の情報を入手し、他社製品と比べるのが普通です。顧客が商材に関する知識がまったく無い状態で、営業担当と接触することは少なくなっています。
そのため営業担当に引き渡す前段階である、見込み顧客を発掘・育成の工程が非常に重要であり、そこに注力するためにインサイドセールスの導入を検討する企業が増えているのです。
オンラインでコミュニケーション可能なツールの発展
従来は、顧客と非対面でコミュニケーションするツールといえば、電話やメールが一般的でした。ただ現代ではSNSやビデオ電話など、オンラインで接触できるツールが広く浸透したため、インサイドセールスが導入しやすい時代になっています。
インサイドセールスを行うメリット
インサイドセールスの導入で得られるメリットは、以下の7つです。
- 営業担当の業務負担が軽くなる
- 見込み顧客を育成できる
- 効率良く成果を出せる
- 短期間で大量の顧客へ提案可能
- 限られた人員で多くの顧客に対応できる
- 属人化するのを防げる
- 働き方改革にも対応できる
営業担当の業務負担が軽くなる
顧客が商材の購入を即決できずに悩んでいたら、営業担当者は足しげく顧客訪問したり、お得な情報を届けたりしなければなりません。
多くの見込み先を抱えている場合はかなりの負担になり、新規顧客の発掘に充てる時間が確保できないこともあるでしょう。
すでに解説したとおり、インサイドセールスを導入すれば、これまで営業部門が担当していた業務の一部はインサイドセールス側で行うため、営業担当の業務負担が軽減します。
対象の業務はメールや電話、SNSを活用した新規顧客の獲得、優先的に営業が必要な見込み顧客の厳選や商談設定、既存顧客へのアプローチなど。これらが営業担当の手から離れればコア業務に専念できるため、成果アップにつながります。
効率良く成果を出せる
これまでは営業担当が自ら顧客リストを作成し、1から営業をかけるのが当たり前でした。
リストには、すぐに商材を買ってくれそうな人もいれば、まったく関心が無い人も含まれています。しかし営業担当は見込み度合いに関わらず、すべての顧客へ同じ熱量や時間を費やしてアプローチしなければならないため、かなり非効率でした。
インサイドセールス担当者は大量の顧客の中から、商材を買ってくれそうな顧客をピックアップして営業担当へ引き渡します。
営業担当は成約度が高い顧客だけに全力で熱量を注げるので、効率良く業績アップにつなげられるでしょう。
見込み顧客を育成できる
「訪問したけれど、見込みが薄い」と判断した顧客でも、時間が経てばその顧客の状況や考え方が変わる場合も。再度アプローチすれば、成約に発展する可能性があります。
インサイドセールスでは成約度が低い顧客に対しても、新作商品やキャンペーン情報の案内を定期的に行うことで、見込み顧客への育成が可能です。
成約度が上がってきたところで営業担当へつなげば、良い反応を得られるかもしれません。
短期間で大量の顧客へ提案可能
新規顧客獲得のためのアプローチを営業部門が担当する場合、訪問や既存顧客へのフォローといった、ほかの業務と並行して行う必要があるため、どうしても1日に接触できる人数は限られてしまいます。
その反面インサイドセールスは、担当する業務が細分化されているので、顧客へのアプローチに集中して取り組めます。さらに非対面で営業するスタイルなので、短時間で大量の顧客に接触できるのがメリットです。
限られた人員で多くの顧客に対応できる
インサイドセールスは顧客を訪問せずとも、オフィス内でWEBやメールを用いて営業できるので、たった1人でも短時間に多くの顧客へアプローチが可能です。
そのため、限られた人員でも大量の顧客に対応できます。今後さらに問題になりえる企業の人手不足問題をカバーできるでしょう。
業務が属人化するのを防げる
属人化とは、特定の担当者に業務が集中することで、業務内容や進捗状況を担当者本人しか把握できていないという状態です。
顧客へのアプローチからクロージングまでを営業部門が行う従来のスタイルでは、見込み顧客と接触するのが特定の営業担当に絞られます。顧客との関係を強化できると同時に、属人化にもつながってしまうのです。
属人化の状態では、営業担当が急に休んだり転職したりすると、これまで築き上げた顧客関係が悪化し、自社から離れてしまうこともあります。
一方でインサイドセールスは業務を細分化するぶん、顧客へのアプローチ方法やアポイントの取り方などはある程度標準化され、何をもって見込み顧客と判断するかも、担当者間でバラつきがでないように調整されます。
そのため「担当者しか分からない」といった属人化を防げるのが利点です。
働き方改革につながる
インサイドセールスは、営業効率が向上するだけではなく、働き方改革へつながる効果が高いのがメリットです。
外勤型の営業と異なり、インサイドセールスは、業務の一部もしくは全部を在宅(リモート)で行えます。
また、訪問に伴う交通費などの経費節約にもつながるため、働き方改革を掲げている企業が積極的に導入する傾向があります。
インサイドセールスを行うデメリット
インサイドセールスは、メリットがある一方でデメリットも存在します。導入後のトラブルを防ぐためにも、マイナス面の確認を怠らないようにしましょう。
インサイドセールスの主なデメリットは、以下のとおりです。
- 情報共有をスムーズに行わなければならない
- ノウハウを習得しなければならない
- 顧客へ商材の魅力を充分に届けられない
- 信頼関係を構築するのが難しい
- 設備投資が必要
スムーズな情報共有を行わなければならない
今まで営業部門が担当していた業務を分業するにあたり、営業部門とインサイドセールス担当者間での、正確な情報共有が必要です。
お互いにしっかりとコミュニケーションをとったり、情報共有がスムーズに行える仕組みを作ったりしないと、伝達ミスによる苦情に発展する恐れがあります。
顧客管理システム(CRM)を使って、顧客とのやりとりをこまめに記録するなど、情報共有をサポートするツールを活用しましょう。
ノウハウを習得しなければならない
インサイドセールスにも、訪問型営業の経験や知識は活かせます。しかし非対面での営業や見込み顧客の育成には、訪問型営業とは異なるスキルも身に付けなければなりません。
新しくインサイドセールスを導入する際に、はじめて営業を担当する人材には、営業スキルを研修などで指導する必要があるでしょう。
インサイドセールスを導入しても、うまく稼働するまでに時間を要する場合があります。
顧客へ商材の魅力を充分に届けられない
訪問型営業は顧客と対面して密接にコミュニケーションをとれるため、相手の理解度にあわせて商材の情報を説明したり、顧客の反応を見て+αの情報を伝えたりと、商材の魅力をたっぷりとアピールできます。
その一方でインサイドセールスは非対面なので、営業マンが直接訪れて提案するのに比べて伝えられる情報量が少ない、顧客の反応が分かりにくいといった点がデメリットです。
信頼関係を構築するのが難しい
従来の営業スタイルでは営業マンが熱心に訪問し、何度も顔を合わせてコミュニケーションをとることで信頼関係を構築できます。
その反面インサイドセールスは対面せず営業する仕組みのため、顧客の信頼を簡単に得ることはできません。
解決策として、オンライン商談ツールを導入するのも手です。オンライン商談では、コミュニケーションツールを使って顧客とオンライン上で対面し、営業や商談をすすめます。
オンライン商談はカメラを通してではあるものの、相手と顔を合わせて対話できるため、信頼関係を築きやすいでしょう。録画機能を活用すれば、商談の内容の振り返りができ、研修用のビデオとして活用もできます。
設備投資が必要
顧客情報を効率よく管理し、営業部門とインサイドセールス側との連携を高めるうえで、顧客管理システム(CRM)や営業支援システム導入(SFA)が必要になる場合があるでしょう。
それらのシステムを導入することで、必要な顧客情報を探しやすくなったり交渉履歴を社内で共有できたりと、業務をスムーズに進められます。
しかしシステムの導入には利用料金が発生するため、コストを削減したい企業にとってデメリットです。
インサイドセールスの実施手順
次に、インサイドセールスを導入する流れを見ていきましょう。
➀担当業務を選別
➁担当部署を決める
➂人員を確保する
➃ツールの導入
➄KPIの設定
⑥実施と改善
担当業務を選別
営業部門が行っている全工程のうち、どの業務をインサイドセールス側が担当するのか選別します。
担当部署を決める
インサイドセールスチームを新しく作る場合、どこの部署へチームを設置するのか決める必要があります。よくある例は、営業部またはマーケティング部への設置です。
営業部へ設置すると、訪問担当者とスムーズに連携できるため、それぞれの顧客に適した提案がしやすいでしょう。
マーケティング部へ設置すると、展示会やセミナーなど、新規顧客を獲得するための施策に沿って活動できるのがメリットです。
人員を確保する
インサイドセールスの担当者を社内の人材から確保するのか、ほかの企業へ外注するのかを決めます。どちらにもプラス面・マイナス面があるため、企業に沿った方法を選びましょう。
まず社内の人員を活かす方法は、経験したノウハウを社内に還元できる、顧客の反応に合わせてきめ細やかな対応ができる、トラブルにすぐさま対処可能といった点が優れています。
しかし担当者を育成したり、新しく採用したりするのにコストや時間がかかるのが欠点です。
その一方で外注(アウトソーシング)は、人材を育てずともすぐに稼働できるため、短時間で成果を出しやすいでしょう。
しかし社内にノウハウが蓄積されない、外注先へ商材の情報や魅力を継続的に伝える必要がある、トラブルに迅速に対応できないといった面がデメリットです。
ツールの導入
営業担当者が顧客に適した提案を行い成約率を高めるには、顧客の属性情報に加え、インサイドセールス側で行った交渉履歴を正確に知ることが重要です。
必要であれば、上記で解説した顧客管理システム(CRM)や営業支援ツール(SFA)の導入を検討しましょう。
KPIの設定
インサイドセールスで成果を上げるには、何をKPIに設定するかが大切です。
KPIとはKey Performance Indicatorsの略で「重要業績評価指標」と訳します。企業目標を達成するために必要なプロセスが、しっかりと行われているかを数値化して評価するしくみです。
インサイドセールスを導入してすぐは、アポイント獲得件数や有効商談化率(または件数)をKPIに設定するとよいでしょう。ちなみに有効商談化とは、実施された商談のうち、顧客の成約率が高いと判断された商談のことです。
これらの数値が伸びてきたら、KPIに受注件数や受注金額を加え、成果アップを目指しましょう。
実施と改善
インサイドセールスを導入したあとは、軌道に乗るまで何度も改善を繰り返す必要があります。安定的な成果を出し続けられるように、定期的に検証を行いましょう。
インサイドセールスを成功させるポイント
インサイドセールス成功のために重視すべきポイントを解説します。
目標のバランスを大切にする
すでに解説したように、インサイドセールス成功のカギは、KPIを的確に設定するところにあります。その際ひとつの目標だけに注力しすぎると、思うように成果を出せない場合があるので気を付けましょう。
たとえばアポイント獲得数だけをKPIに設定していると、顧客への聞き込みがあいまいな状態で営業担当者へつないでしまう恐れがあります。
また、受注件数だけ重要視するのもモチベーション低下につながるので注意です。なぜなら受注件数・受注金額は、インサイドセールス担当者だけではなく、営業部門のスキルも大きく影響するからです。
複数の目標をバランスよく評価する仕組み作りを心掛けましょう。
顧客に合ったアプローチを行う
万人に同じようなアプローチを行っても、顧客の心をつかむことはできません。見込み顧客へと育成するには、顧客それぞれのニーズを引き出すのが大切です。
メールや電話の反応を見て顧客の購買意欲を判断し、顧客ごとに最適な提案を行いましょう。
また、購買意欲が薄いと判断された顧客は、しつこい電話は逆効果につながりかねません。メールを定期的に送信するなどして少しずつ関係を構築し、ニーズが顕在化したところで、本格的な提案を行うのがポイントです。
インサイドセールス事例
本サイトを運営しているMPHも、インサイドセールスの支援を行っています。MPHがインサイドセールスの導入をサポートし、成果につながった企業2社の事例を紹介します。
インサイドセールスに取り組んで売上220%を達成!
新規顧客の獲得から見込み顧客への育成、さらには商談までも全てオンラインに移行した結果、大幅な時間短縮につながり、商談数が3倍に増加しました。
また、MA(マーケティングオートメーション)ツールも導入したことで、より成約度の高い顧客へ注力できるようになり、人員を増加せずとも月商昨対比220%を達成しました。
残業時間の大幅短縮に成功!
昔ながらの「足で稼ぐ営業」を主軸に営業活動を行っていた機械部品メーカー様。
営業部門の残業が慢性的な課題となっていたため、改善策としてインサイドセールスに注力しました。その結果、残業時間の80%以上の削減を実現。さらにリード獲得数を3倍に増やすのに成功しました。
インサイドセールス支援は東京のMPHへ
「インサイドセールスを始めたいけれど、うまく導入できるか不安…」このように悩んでいる方は、WEBコンサルティング会社のMPHへぜひご相談ください。
MPHは社内分析や競合他社の調査を行い、御社の課題を明確にしたうえで、具体的な行動計画を立案します。提案するだけにとどまらず、施策導入後の進捗管理や検証までサポートするため、成果を出しやすいでしょう。
インサイドセールス支援のほかにも、サイトのSEO対策・SNSの活用方法・WEB広告の最適化など、さまざまなサービスを展開しています。
ご相談は無料なので、お気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人
MPH WEBコンサルティング事業部
専門分野:WEBコンサルティング,WEB広告,SEO,DX,MA
様々な企業・事業者のWEBマーケティングを支援してきたMPHのWEBコンサルティング事業部が、経営に役立つIT・WEBに関するノウハウや最新情報を発信しています。