USPとは?作り方と合わせてコンサルタントが解説

ビジネスを始める・成長させるうえで、USPは必ずしも必要ではありません。しかし、継続的な成長や市場での飛躍を望むのであれば、USPはなくてはならないものです。
本記事では、経験豊富なマーケティングコンサルタントが、USPが大切な理由やUSPの見つけ方・作り方を解説します。
「どのようなUSPを設定すれば、自社の商品・サービスが選ばれるの?」と思っている方は、ぜひご一読ください。本記事を通して、自社の魅力を最大限に引き出すUSPを設定しましょう。
USPとは何か?なぜ大切なのか?
そもそもUSPとは何か、なぜ大切なのかをみていきましょう。
USP(Unique Selling Proposition)とは?
USP(Unique Selling Proposition)とは、自社の商品やサービスが持つ「独自の強み」を指します。簡単にいうと、「自社だけが提供できる価値」を明確にしたものです。
この概念は、アメリカのコピーライター、ロッサー・リーブスによって提唱され、現在でも多くの企業がマーケティング戦略の基本として取り入れています。
例えば、あなたがレストランを経営しているとします。「おいしい料理とくつろぎの空間を提供する」といった目標は、他の多くのレストランでも掲げられているでしょう。
しかし、「地元産の新鮮な食材を使った料理を、いつでも楽しめる」という特徴があれば、それは他店にはない独自性となり、顧客にとっての魅力となります。これがまさにUSPの役割です。
USPは、ただ目立つためのものではなく、「顧客にとって価値があるか」が重要です。顧客目線で「この商品やサービスを選ぶ理由」をはっきりさせることで、競合との差別化が可能になります。
USPが重要な理由
では、なぜUSPが重要なのでしょうか?以下に3つの理由を解説します。
存在感を発揮できる
USP(独自の強み)があることで、競合他社に埋もれることなく、存在感を発揮できます。現代の市場には、似たような製品やサービスが数多く並んでいます。その中で顧客の目に留まるためには、他社にはない「独自性」が欠かせません。
広告や宣伝が明確になり記憶に残る
USPがしっかりしていると、広告や宣伝で伝えたい内容が明確になります。これにより、顧客にわかりやすく訴求できるだけでなく、ブランドとしての記憶にも残りやすくなるでしょう。「○○といえば、この会社!」と認識されるきっかけを作るのがUSPの力です。
中小企業を支える効率的なマーケティング
USPは、企業の成長にも大きく寄与します。特にリソースが限られている中小企業にとって、独自の強みを持つことは、大企業と競争するための強力な武器となるでしょう。少ない予算でも効果的なマーケティングを行うためには、USPを軸にした戦略が重要です。
有名企業のUSPの事例
有名企業のUSPを4つご紹介します。
ニトリ
ニトリのUSPは「高品質な商品をお手頃価格で提供する」ことです。自社で企画・製造・販売を一貫して行う仕組みにより、コストを抑えつつ豊富な商品を提供しています。「お、ねだん以上。」のキャッチフレーズが示す通り、手軽に購入できる高品質家具という明確な価値を提供し、幅広い顧客層から支持を得ています。
Red Bull(レッドブル)
Red BullのUSPは「翼をさずける」という独自のスローガンと、そのエナジードリンクによってもたらされる活力や集中力です。また、スポーツや音楽イベントへの積極的なスポンサー活動を通じて、競合製品との差別化に成功しています。単なるドリンクではなく、ライフスタイルを象徴するブランドとして認知されています。
RIZAP(ライザップ)
RIZAPのUSPは「短期間で結果を出すパーソナルトレーニング」です。「結果にコミットする。」というキャッチフレーズが特徴的で、専属トレーナーの指導のもとで劇的な変化を提供しています。テレビCMなどで実際の顧客のビフォーアフターを活用し、健康的に痩せた実績を視覚的に訴求することが差別化につながり、消費者に強い印象を与えています。
BASE FOOD(ベースフード)
BASE FOODのUSPは「完全栄養食を主食として提供する」ことです。「主食をイノベーションし、健康をあたりまえに。」を掲げ、パンやパスタを健康的かつ栄養バランス良く設計。忙しい中でも簡単に健康を意識できる価値を提案しています。栄養価と利便性の両立により、従来の主食とは異なるポジションを確立しています。
USPの見つけ方
USPは、競争の激しい市場で自社が選ばれる理由を明確にするために重要です。その魅力的なポイントを見つけるには、綿密な分析が欠かせません。ここでは、自社・顧客・市場・競合という4つの視点から、USPを見つけるための具体的なアプローチを解説します。
自社分析
USPを見つけるためには、自社を深く理解し、他社と比べた強みを明確にすることが重要です。まずは、自社の商品やサービスの特徴を徹底的に洗い出しましょう。この作業では、社内の各部門から意見を集めたり、顧客からのフィードバックを活用したりすることが有効です。
ある程度情報が集まったら、強みといえる特徴と、単なる特徴を区別しましょう。他社と比較して際立って優れているポイントをピックアップすることが大事です。
顧客分析
USPを見つけるためには、顧客を深く理解することが重要です。顧客はどのような人物で、自社に何を求めているかを把握しましょう。
データ分析
まず、現在の顧客層や潜在顧客に関するデータを分析しましょう。購入履歴やWEBサイトのアクセスデータ、アンケート結果など、さまざまな情報源を活用して顧客の行動や嗜好を把握します。
ターゲット・ペルソナの確認
次に、ターゲット・ペルソナを確認します。ターゲット・ペルソナとは、理想的な顧客像を具体化したもので、年齢や性別、職業、趣味嗜好などの詳細なプロフィールを含みます。これにより、どのような顧客が自社の商品やサービスを利用しているのか、明確にイメージすることが可能です。
ニーズ・ウォンツの分析
また、顧客のニーズとウォンツを分析することも欠かせません。ニーズは「必要としているもの」、ウォンツは「欲しいと思っているもの」を指します。例えば、健康志向の顧客であれば、ニーズは”健康を維持する”であり、ウォンツは”美味しくて健康的な食品”かもしれません。これらを明らかにすることで、顧客が本当に求めている価値を把握できます。
市場分析
自社が属する市場全体を深く理解することは、USPを発見するための重要なステップです。市場規模や成長性だけでなく、顧客のニーズや市場のトレンドを分析しましょう。
例えば飲食店の場合、地域住民のライフスタイルや食の好み、健康志向といったトレンドを把握することで、自社のメニューやサービスに活かせるヒントを得られます。
競合分析
USPを見つける際、競合他社の動向を理解することも非常に重要です。競合分析では、まず競合他社の商品やサービスの特徴をリストアップします。価格設定、マーケティング戦略、提供する価値などを詳細に調べ、各社がどのような強みを持っているかを把握しましょう。
次に、競合が持つ弱点を探ります。例えば価格が高すぎる、カスタマーサービスが不十分、あるいは商品の種類が限られているといった点です。このような弱点は、自社が差別化を図るチャンスとなります。
最後に、自社と競合の比較を行い、自社が提供できる独自の価値を明確化しましょう。他社にはない特徴やサービスを打ち出すことで、顧客に選ばれる理由を作り出せます。
USPの作り方
USPを設定するときに重要な視点は「マーケットインの思考」です。顧客の視点に立ち、求められる価値を正確に捉えることが成功の鍵となります。そのためには、次の2つの問いかけを常に意識することが大切です。
- USPが自己満足な内容になっていないか?
- ターゲットが求めるものが、USPとなっているか?
これらを踏まえて、具体的なステップを見ていきましょう。
戦う場所(セグメント)を決める
USPを作るための第一歩は、自社の強みを活かせる市場セグメントを特定することです。市場全体ではなく特定のセグメントに焦点を当て、そのニーズに合致する商品・サービスを提供することで、競合との差別化を図れます。
なお、セグメントとは年齢、性別、職業、収入、趣味など、共通の特性を持つ顧客のグループです。例えば「20代の女性で、美容に関心の高い層」や「健康志向の40代男性」などが挙げられます。
ポジショニング分析やSWOT分析などの手法を活用し、自社の強みと市場のニーズが最も合致するセグメントを特定することで、より効果的なUSPを作り出せます。
他社を圧倒する端的なメッセージにまとめる
次に、決定したセグメントに向けて、他社を圧倒するシンプルかつ魅力的なメッセージを作り上げます。短く端的な表現でありながら、顧客に「これだ!」と思わせる内容にすることが重要です。感情に訴えかける要素や具体的なベネフィットを盛り込むことで、より強い印象を与えられるでしょう。
USPの策定支援は東京のコンサルティング会社MPHへ
当サイトを運営しているMPHは、東京を拠点に活動するWEBコンサルティング会社です。当社ではWEBコンサルティングの一環として、USPの策定やマーケティングコンセプトの設定をサポートしています。
顧客・市場・競合を徹底的に分析し、貴社の強みを最大限に引き出すお手伝いをいたします。独自性のあるメッセージで競合との差別化を図り、貴社のビジネス成長を支援いたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。