LTV(ライフタイムバリュー)とは?重要性や計算式・向上させる方法をご紹介!
目次
「そもそもLTVってどういう意味?」
「LTVを向上させるためにはどんな施策が有効?」
このようなお悩みや疑問をお持ちではないでしょうか。
本記事では、LTV(ライフタイムバリュー)について、重要性や計算方法、LTVを向上させるためのマーケティング施策などを解説します。LTVを向上させたいとお考えの方のために、LTVを効率的に上げるために必要な情報をまとめました。
LTVの要素となる購入単価・購入頻度の両面からのマーケティング施策をまとめておりますので、ぜひご一読ください。
LTV(ライフタイムバリュー)とは?
そもそもLTV(ライフタイムバリュー)とはなんなのでしょうか。まずはLTVの概要を解説します。
LTVはLife Time Valueの略称で、日本語では「顧客生涯価値」を意味します。一人当たりの顧客が自社と取引を開始してから終了するまでの期間に、どれだけの利益をもたらしてくれるかを表す指標です。
LTVを明確にすることで、自社商品・サービスの利益体質の把握や優良な顧客の傾向分析、顧客獲得コストと維持コストの目標数値算出などのメリットがあります。LTVは成果指標やKPIなどの目標値として機能し、適正な経営判断を行うために有益な情報を提供するため、企業活動やマーケティング活動において重要な役割を果たしています。
売り切り型の販売形式から、サブスクリプションなどの継続型の販売形式のビジネスモデルが隆盛している現在、特に重要視されています。
すなわち、企業にとってLTVは継続的に利益を上げるために重要な指標であり、LTVを向上させていくことはビジネスの成長に直結します。LTVの重要性を理解し、有効な施策を取り入れていきましょう。
LTVが重要な理由
LTV(ライフタイムバリュー)が重要な理由をより詳しく解説します。
新規顧客の獲得が難しくなり、既存顧客との取引継続が重要になっている
昨今、BtoC、BtoBのビジネスモデルに限らず、顧客のニーズや取り巻く環境が多様化・複雑化しています。それに伴い、新規顧客の獲得にかかる費用も高まり、1人の新規顧客獲得にかかる費用は、既存顧客のリピートにかかる費用のおよそ5倍と言われています。
例えば、技術革新によって以前よりも新たな商品・サービスをリリースするまでの製品・サービスのライフサイクルが短縮されたことで、顧客に商品・サービスが次々と提供できるようになりました。一方でスマホ・SNSの普及や新たなビジネスツールの開発により、企業だけでなく、個人も気軽に商品・サービスを提供できるようになりました。
そのような複雑化、高度に競争化した市場において、新商品・サービスが登場すれば、その度に新規顧客獲得に向けた活動も活発になります。既存の商品・サービス市場で競合するなら、当然ながら新規顧客の獲得が難しくなるでしょう。
さらに新規参入してくる企業・個人は、他業界もしくは他国からも増えてきており、今後も市場が複雑化することが予想されます。
このように新規顧客獲得の難しさから既存顧客を維持することが重要視されており、既存顧客の維持の指標であるLTVが注目されているのです。
売切り型からサブスクリプションモデルの浸透
さらにビジネスモデルの変化もLTVを重要視させる要因の一つです。最近注目を集めているビジネスモデルがリカーリングとサブスクリプションという継続型のビジネスモデルです。
リカーリングは従量課金制、サブスクリプションは定額課金制というビジネスモデルです。
いずれも継続的な契約関係により長期的な収益獲得・安定化を狙うビジネスモデルです。
市場の複雑化、消費者ニーズの転換に合わせ、従来の「売り切り型」からビジネスモデルの転換を図る企業は、上記のような継続型のビジネスモデルの構築を目指して、さまざまな施策を実施しています。
特にサブスクリプションモデルは安定的な収益獲得につながるため、LTV向上に大きく寄与します。このようにビジネスモデルの変化から、LTVがより重要視されているという訳です。
LTV(ライフタイムバリュー)の計算方法
LTV(ライフタイムバリュー)はさまざまな方法で計算することができますが、一般的には以下の計算式で計算されます。
LTV = 平均購入単価 × 粗利率 × 平均購入頻度(回/年)× 平均継続期間(年)
例えば粗利率50%で単価10,000円の商品を毎月1つ、5年間継続して購入してくれた顧客でイメージすると、LTVは「10,000円×50%×12回×5年」で、300,000円となります。粗利率を掛け合わせることで、利益ベースでLTVを算出しています。なお、この計算式から1人あたりの顧客獲得コストと顧客維持にかかるコストを差し引くと、コストを考慮した純粋なLTVを算出することが可能です。
上記以外では、解約率を活用して算出する計算式もあります。
LTV = 平均購入単価 ÷ 解約率
この計算式は、おもにサブスクリプション型のサービスなどで活用されています。シンプルな計算式から「平均購入単価を引き上げること」と「解約率を低く抑えること」の重要性が、ひと目でわかります。この計算式に粗利率を掛け合わせれば、利益ベースでLTVを把握することも可能です。自社に合った算出方法を選びましょう。
LTVを向上させるためのマーケティング施策
続いて、LTV(ライフタイムバリュー)を向上させるための具体的なマーケティング施策を解説します。
前章でLTVの計算式で解説した通り、購入単価と購入頻度を上げることが、LTVを向上させるために重要です。ここでは、「購入単価を上げる」マーケティング施策と「購入頻度を上げる」マーケティング施策に分けて、紹介していきます。
購入単価を上げる
まずは「購入単価を上げる」マーケティング施策を紹介します。
ー商品・サービスの値上げ
商品・サービスの値上げは直接的に購入単価を上げることにつながります。市場の相場や自社製品の価値を見極めながら、商品・サービスの値上げをしてみるのもLTV向上に有効です。
しかし、商品・サービスの値上げは顧客が離れてしまうリスクもあるため、慎重に行う必要があります。値上げのタイミングの見極めや商品・サービスのベネフィットの訴求をしっかりと行った上で、顧客に理解してもらえるような値上げが重要です。
ー複数の商品バリエーション準備
複数の商品バリエーションを準備するのも購入単価を上げるのに貢献します。例えば、現在契約してくれている商品・サービスをサポート・グレードアップするオプションメニューを用意し、レコメンドすることで、追加で商品・サービスを購入してもらうことを狙えます。
注意点としては、商品バリエーションを増やしすぎて、メニューを複雑にしすぎないことです。メニューが複雑化すると、新規顧客獲得の障壁が上がりますし、管理面でも工数が増えるなどのデメリットがあります。複数の商品バリエーションを準備しながらも、必要なメニューを取捨選択してシンプルなメニューにしておくことを心がけましょう。
ーセット商品販売
セット商品販売も同じく購入単価を上げるのに貢献します。商品バリエーションを増やすことと考え方は一緒で、顧客のニーズに合わせて商品をセットにして販売することで、購入単価を上げることができます。商品同士のセットや個数のセットなど顧客が便利・お得と感じるセット商品を考案してみましょう。
購入頻度を上げる
続いて「購入頻度を上げる」マーケティング施策を紹介します。
ーリマインドメールの配信
商品・サービス購入の周期に合わせて、リマインドメールを配信することで購入頻度を上げることができます。リマインドメールでリピート購入を促したり、新着商品やお得なセット商品を紹介することで、継続的な関係を築くことができます。
ただし、リマインドメールの配信の頻度には注意が必要です。頻繁にリマインドメールを配信しすぎると、顧客に嫌がられて解約されてしまう危険性があります。顧客に価値のある情報を届けられる程よい頻度を心がけてリマインドメールを配信してみましょう。
ーメールマガジンの配信
メールマガジンの配信も購入頻度を上げることに有効です。顧客の行動データから興味・関心のありそうなテーマでメールマガジンを配信することで、集客につなげます。
質の高いメールマガジンを作成するには、事前調査やデザインの工夫が必要となり、手間と時間がかかることがあります。全ての顧客に向けた内容だと、メールマガジンの内容が抽象的となる可能性があるため、ペルソナを決めて、記事の内容を作り込むことをおすすめします。
ちなみに、ペルソナとは、商品・サービスを利用する典型的なユーザー像のことで、マーケティングにおいて活用される概念です。実在する人物かのように、年齢、性別、居住地、職業など、細かく設定していきます。
ーLINE公式アカウントのメッセージ配信
メールだけでなく、LINE公式アカウントを活用したメッセージ配信も有効です。LINE公式アカウントは無料で豊富な機能を利用でき、日本最大級のコミュニケーションアプリであるLINE上で商品・サービスの訴求を行うことができます。
店舗やSNS、WebサイトなどでLINE公式アカウントの宣伝を行って、友だち追加してもらい、顧客にメッセージを配信します。
クーポンやショップカード機能もあり、特典をつけて顧客の購買欲をくすぐるようなメッセージを送ることができます。
LTV向上の成功事例
続いてはLTV向上に成功した事例を紹介します。実際の企業がどのようにLTV向上に成功したのか、以下の2つの事例を参考にしてみてください。
顧客目線の話法に変更して成功した事例
商品リピートすることで効果の実感を得られる商品を提供している企業A社では、一定の回数まで定期継続が続かないという課題を抱えていました。
そこで、顧客がシニアということもあり比較的、電話比率が高かったため、電話での話法を変えました。
具体的には、注文の電話を受けた際に、購入動機や理由を丁寧にヒアリングして、どういう自分でありたいかというイメージを顧客に語ってもらうようにしました。商品の価値を一方的に伝えるのではなく、顧客が目指す目標に対して、その商品がいかに役立つかという顧客目線での話法に変更したのです。
結果として、既存顧客から納得感が得られ、一定の回数まで利用してもらう確率が75%から80%を超え、LTV向上に成功しました。
ポイントをプレゼントして成功した事例
B社では、サービスに付随する商品の購入率を上げることへの課題に対して、自社ポイントを活用しました。
商品購入するとポイントが付与されるというのは一般的な手法ですが、B社では特定の顧客にだけ自社ポイントをプレゼントしました。
このポイントを商品購入時に使えるようにしたところ、これまで特定の既存顧客からの購入率はほぼ0%でしたが約10%まで上がり、LTV向上につながりました。
一般的なクーポンの場合はいくら以上でクーポンが利用できるという制約がありますが、ポイントの特性上、そういった制約がないため、顧客にとって価値あるものと受け止められたと推測されます。
顧客にとっての価値を最大限に考えた結果、企業の抱える課題をクリアするに至りましたが、企業目線で考えていると辿り着きにくい発想だったのではないでしょうか。
出典:https://smbiz.asahi.com/article/14634399#inner_link_005
LTV改善を行う際の注意点
最後にLTV向上のための改善施策を行う際に注意すべきポイントを解説します。やみくもにLTV向上を狙っても、思った成果を得られないことも。
確実にLTV向上させるために以下のポイントを押さえて、LTV改善を進めましょう。
施策ごとの効果測定を行う
LTV向上のための施策は、一度行えば終了というものではありません。施策結果を振り返り、継続的に繰り返すことで、LTV向上へとつながります。
中でも重要になるのが、効果測定です。KPIなど具体的な目標を設定した上で、定期的に効果測定を行いましょう。施策ごとに「何がどのくらい」変化したのかを計測します。複数の施策をまとめて効果測定することは難しいため、施策に優先順位をつけて一つずつ実施しつつ、一つずつ効果測定を行うことで、次なる改善に活かすことができます。
またLTVの改善には、長期的に取り組むことになるケースも多くあるため、効果測定する仕組みの構築も必要になってきます。
費用対効果を考慮して施策を選ぶ
LTV向上を目指すあまり、コストを使いすぎては、利益向上というビジネス本来の目的を見失ってしまいます。そのため、LTV向上の課題から施策を洗い出したあとは、費用対効果を考慮して、進めるべき施策を選ぶ必要があります。
LTVを高めるための手段は、販促施策やツール導入などさまざまですが、コストと効果のバランスを意識して選びましょう。商品・サービスの売上が伸び悩んでいる時は、ECサイトなどのWebサイトの弱点を改善するだけで効果が出ることもあります。小さく始められるところからLTV改善を始めてPDCAサイクルを回していくのもおすすめです。
LTVのご相談は、WEBコンサルティングMPHにお任せください
LTVの向上は、新規顧客獲得が難しい今の市場において、安定的な収益を得るために重要な活動です。顧客の購入単価を上げたり、購入頻度を上げるなどの施策を成功させるには、顧客との信頼関係の構築が不可欠です。やみくもに施策を打つと、かえって顧客が離れていってしまうこともあります。
本記事では、LTVを向上させるための施策などを解説してきましたが、初めてLTV改善を行うという方は、どんな施策が効果的なのか、その施策の実行可能性はどれくらいなのか、具体的な施策を考えるのに時間がかかってしまうかもしれません。そういった時は、ぜひ東京のWEBコンサルティング会社MPHをご利用ください。
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この記事を書いた人
MPH WEBコンサルティング事業部
専門分野:WEBコンサルティング,WEB広告,SEO,DX,MA
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